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IgECε3肥満細胞の表面IgE受容体β鎖α鎖γ鎖キナーゼ活性化脱顆粒サイトカイン合成エイコサノイド合成図4肥満細胞上のIgEとIgE受容体の結合。IgEのCε3部位とIgE受容体のα鎖が結合する。IgE受容体からのシグナルにより細胞内キナーゼが活性化し、サイトカインやエイコサノイド合成、肥満細胞の脱顆粒を起こす。Pamuk, ON and Tsokos, GC. Arthritis Research & Therapy2010, 12:222より引用・改変ただし、組換タンパクを使用する場合、非特異的反応(IgE以外の物質に対する反応、偽陽性反応)が多くなるため、検出感度は低くなることを覚悟しなければならない(つまり、相当高いIgE値でなければ検出困難となる)。理論的には、IgE受容体の組換タンパク質を用いずに、IgE受容体結合部位を認識する抗IgE抗体を使ったIgEの測定系であれば、動物種間で相互に応用することも可能である。この考えを実現化すれば、一種類の動物のIgE測定系を他の動物種のIgE測定系に応用することができる。しかも、抗体を用いた測定系であるので、組換タンパクのときのような感度の低下を気にしなくても良い。そこで、我々はマウスとイヌのIgEに対して同様に反応して、イヌのIgGに全く反応しないという特殊な抗IgE抗体(CRE-DM)を作製した。CRE-DMによりマウスのアレルゲン特異的IgE定量測定系をイヌIgE測定に応用することが可能で、イヌにおいてマウスのIgE測定系と同様にアレルゲン特異的IgEの定量測定が初めて可能となった8。この方法以外にアレルゲン特異的IgEを定量測定する方法は今のところ世の中に存在せず、この定量測定法の仕組みは動物アレルギー検査(株)特許にもなっているため(特許第5334269号,US8,716,031B2)、他社が無断で利用することはできない。ヒトのアレルゲン特異的IgE検査でも厳密な定量測定系はまだ存在しないこともあり、この時点でイヌのIgE測定の方がヒトのものよりも一歩先に進んでいるということができる。残念ながら、CRE-DMは、マウスとイヌ以外の動物種のIgEへは反応が見られなかったため、ネコなどその他の動物種のIgE定量測定へ応用することはできない。そこで次に、我々はラット、ヒト、イヌ、ネコのIgEすべて反応し、これらすべてのIgGには反応しない抗IgE抗体をマウスで作製することに成功した(未発表データ)。詳細検討は現在進行中であるが、この抗体を用いればこれら動物種のIgE定量測定系を押しなべて構築することが可能であり、IgEの血中濃度を動物種間で比較することができる。これによって、ネコIgE検査システムを構築できるだけでなく、動物とヒトのアレルギー反応の相違を詳細に解明することも可能である。重要ワンポイント:げっ歯類以外でIgE定量的測定系はイヌで最初に構築された。10 vol.0