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特集:犬アトピー性皮膚炎1 IgEと犬アトピー性皮膚炎1図8アトピー性皮膚炎の典型的な症状。とくに写真左は身体の内側部に病変が見られ、犬アトピー性皮膚炎の典型例である。写真右もアトピー性皮膚炎の一つであるが、目や口の周囲の病変は食物アレルギーによく見られるものである。下痢の(下痢を呈する)犬というような使い方である。従来の「アトピー性皮膚炎」という診断名と使い方が異なる点に注意する。診断に適した時期犬アトピー性皮膚炎はIgEを介して起こる病態であるため、IgE上昇を示すアレルゲンがその原因である。そのため、診断にはIgE検査が不可欠である。そこで、IgE検査を実施してIgEの検出を試みるが、このときIgE検査の実施時期に注意が必要である。確実に診断したい場合には、原因アレルゲンの暴露最盛期が良い。その理由は、アレルゲンの暴露最盛期にはそれに対するIgEは必ず上昇しているはずで、原因となるIgEを検出しやすいためである(図7)。とくにIgE検査の感度がそれほど高くない検査システムを用いる際には、IgEが十分に高い値になってからの検査実施が望ましい。つまり、症状が十分に出ているときの検査実施が賢明であると言える。IgE検査の検出感度は検査システムごとに異なる。定性検査では健常犬の測定値よりも高い値が異常値として表記されるため、IgEのわずかな上昇を捉えることは難しい(健常犬サンプルに少しでもIgEが含まれている場合があるため)。そのため、IgE濃度の絶対値を把握する、より鋭敏な検査が必要で、それが定量検査である。定量検査を実施した場合、軽微なIgE上昇を捉えることができるため、必ずしも症状の最盛期にIgE検査を実施する必要は無い。ある程度のIgE値を確認することができれば、原因アレルゲンを獣医師は推測することができるからである。とくに、季節性の症状を持つ犬で冬にIgE検査を実施した場合、アレルゲン暴露の季節を過ぎたことでIgEの血中濃度は低下しているはずであるが、それでもIgE値が最も高値を示すものが原因アレルゲンと推測することができる。重要ワンポイント:症状発症時にIgE測定する方が原因アレルゲンを把握しやすい。IgE定量測定なら病状が治まっている季節でも原因アレルゲンを推測できる。まとめIgE介在性アレルギー反応によって発症する犬アトピー性皮膚炎の診断は、IgE定量検査ができたことによってIgE血中濃度を数値で把握することが可能となり、飛躍的に進歩した。これによって、ペットオーナーへより詳細に結果を説明することができ、また、アレルゲン回避の方法なども獣医師は指南することができるようなった。このように、アレルギー反応のメカニズムを精密な検査によって理解していくことで、アレルギー診療がより緻密なものとなる。次回には、アレルギーのメカニズムに基づいた、最新の薬剤の使い方などを解説したい。vol.0 15